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絶対的な正しさとは存在するか考えた

正しさとは?

 

人は正しいという言葉をよく使います。

ここでいう正しさとは、1+1=2のような公理めいたものとか、モンティ・ホール問題のような答えが一つしかないものではなく、トロッコ問題でどう選択するのが正しいのか、というようなことです。

有名ですが、福本伸行銀と金より

教えたる

正しさとはつごうや…

ある者たちの都合にすぎへん…!

正しさをふりかざす奴は…

それはただ

おどれの都合を声高に主張してるだけや

 正しさとは都合、読んだときはまさにそのとおりだと思いました。

 

西尾維新による物語シリーズに登場する阿良々木月火は、"正しい"というキャラ付けがされてると思います。正義じゃなく正義そのものとは彼女の弁ですが、まさにそのとおりだと。で、ふと、やっぱり絶対的な正しさはあるんじゃないかと思った次第です。

正しさとは論理的であり、倫理的であるものなので、倫理が絡む以上は立場によって正しさは変わるでしょう。しかし、絶対的な正しさというのも存在するんじゃないかな?ということです。

 

ロッコ問題

 

ロッコ問題を例にあげて考えてみます。

トロッコ問題 - Wikipedia

 

意味が変わる可能性もあるんですが簡単に言ってしまえば

 

・トロッコが制御不能になっている

・トロッコの進路は線路Aに設定されている

・線路作業員は自力では逃げられない

・あなたは電車の線路分岐器を操作できるところにいる

・分岐している線路Aには複数人の作業員がいる

・分岐している線路Bには一人の作業員がいる

・一切の法的な責任は負わないものとする

 

wikiには考察として、こうあります

つまり単純に「5人を助ける為に他の1人を殺してもよいか」という問題である。功利主義に基づくなら一人を犠牲にして五人を助けるべきである。しかし義務論に従えば、誰かを他の目的のために利用すべきではなく、何もするべきではない。

 哲学とか倫理学とかが絡むとこうならざるを得ないんですよね。これは正しさとは立場によって変わるということとも言い換えられます。

 

そういえばタイムリーネタですが、こんな方法が話題になりましたね↓

 

条件の穴をついた抜け道ではありますが、まさにこれこそ絶対的な正しさ…トロッコに人が乗っていないならですが

さて、じゃあトロッコに人が乗っている場合はどうしましょうか?何が正しいでしょう?

作業員は距離が離れていてよく見えないため、年齢性別諸々アンノウンとすれば、功利主義に基づいて多数を救う…とか、もし作業員の年齢性別がおよそ把握できるなら若い女の子のいる方を助ける…とか知人がいるから助ける…とかそういう条件に分岐して答えもそれに従って変わると思いますが、そんなことはどうでもいいです(じゃあなぜ書いた)

結局、その正しさは自分の思う正しさだからです。どんなに理屈をこねても、数字を持ち出して正当性を主張しても、やはりそれは自分の都合でしかないんです。

仮に全員救う方法があったとして、それが正しいと言えますか?

たとえば

ある作業員には6才の娘がいますが、大きな病気にかかっていて、治すためには手術が必要です。手術には多額のお金が必要で、あらゆる手段でお金を集めましたが5000万円どうしても足りません。一つだけ方法がありますが意図的にできるものでもありません。それは、生命保険と労災保険です。仕事中に死ぬことができて、労災認定されれば、5000万円保険金が給付されるものです。

そんな事情の彼は線路Aで作業していましたが、トロッコがものすごい速さで彼の方に向かってきています。もちろん恐怖もありましたが、これは千載一遇のチャンスでした。ああ、娘を救うことができる。自分の命など愛する娘に比べれば安いものだ。親もすでに他界しているし、思い残すこともない。強いて言えば妻と娘だけ残すことが気がかりだが、思いやりのある妻だ、きっとわかってくれる。ああ、大して良いことのない人生だったし、神なんて信じたことはなかったが、神様、ありがとう―――

なんて状況であなたが路線切替してこの人を助けても、スーパーマンが飛んできて全員助けても、この人からは恨まれるでしょうね。

結局、あらゆるシチュエーションが想定される中で、すべての人が一致して“正しい“と思う行動なんてないと思います。

まあ、普通ですね。倫理は人によって変わる。論理は普遍的。

言い換えれば、倫理的正解はひとつにはならないってことですね

正しさとは論理的であり、倫理的であるものなので、倫理が絡む以上は立場によって正しさは変わるでしょう。しかし、絶対的な正しさというのも存在するんじゃないかな?ということです。

↑というかこの時点で結論出てましたね。論理的正しさというのは普遍的なものだから、絶対的な正しさ∋論理的正しさが成り立つ。つまり論理的正しさを主張するぶんにはそれは絶対に正しいわけだ。だから論理的正しさだけを主張すれば絶対的に正しい人間になるわけだ。部分集合的には。

まあ、なぜ論理的正しさは普遍的なのかっていうところを公理的に使っているけど、論理的に考えないといけないわけですよね。もう疲れたので今度別の記事で書けたら書く←8割方書かないやつ〜wwww

おまけ

ついで(?)に銀と金の名言のくだりを文章化しました

―――

森田が二億を手に入れたあの日から一ヶ月が経った。この間彼はただボーッとしていた。贅沢するだけの金はあるが、資本を減らすことで仕事の可能性を潰したくないと考えていたからだ。

この日、森田はカフェで人と会う約束をしている。二億の仕事で一時的に手を組んで以来会っていなかった川田だ。

 

丁度コーヒーを飲み干した時、見るからに羽振りの良さそうな風体で、川田は現れた。

すでに、仕事への誘いだと聞いていた。もちろん森田に受ける気はないが、直接断らなければ承知しそうにないから会ったのだ。

「金を回すだけでも…」と川田は食い下がるが、やはり森田は断る。

頑なに断る森田に対し、呆れたのか諦めたのか、川田は少しため息をして、タバコを咥えて言った。

「せやったらしゃあない…情報だけやるわ。イトウ食品の株、全力で売りにいけ。イトウ食品の株は、近々必ず下落する」

どうやら、川田はなにかネタを握っているようだがはっきりしない。

 

場面は飛んで、それから二週間後。川田の言ったことなどすっかり忘れていた頃。森田は新聞の一面記事に目を奪われる。

イトウ食品に毒物混入。

マスコミへ予告電話、毒入りうどん三ケ所、市民パニック…

ふと森田は、川田の言っていたことを思い出す。

「まさか、あいつが―――」

この事件をきっかけに、イトウ食品は内部の問題が露見し株価は急落する。それまで堅調だった株価はわずか一週間で三割も下落した。

もし二億つぎ込んで五倍の売りで入れば、この短期で三億ほど浮かせたこととなる。

それから連夜、森田は川田を捜した。川田の立ち寄りそうな店、場所…

 

そして五日後。

川田は高級キャバクラにいた。

「なんや森田、血相を変えて………」

森田は確認するように聞く。

「………一つだけ聞く。おまえか……?」

川田は少し黙ったあと、答える。

「………そうや……!」

瞬間、森田は一直線に、テーブルをロイター板かのように踏みつけ、川田の右頬に殴りかかった。グラスの割れる音、キャバ嬢の悲鳴、取り巻きの怒号が狭い個室に響き渡る。

森田も屈強な男ではあるが、同様に喧嘩なれしていそうな取り巻き二人に掛かれば、取り押さえられるには十分だった。

「このガキっ…」

取り押さえられ身動きの取れない森田に、取り巻きが殴りつける。左頬、腹。森田は鈍い痛みに思わず身体をかがめる。

右頬の血を拭きながら、焦燥した様子で川田は言う。

「ボケがっ……!………何とちくるっとるんや!」

痛みに顔を歪めながらも、森田は言う。

「お前は間違っている……下手したら死人が出ていた………」

「出るか……アホッ!考えてみろ………毒入りって書いてあるうどん、そんなもん食らうやつがどこにおる……!大体死人がなんじゃ……!多少の犠牲は知ったこっちゃない…!車のメーカーは商売で一日に何人殺しとる…?年に一万人は事故で人が死んどるやろが…!なんでわいだけ間違いと決める…?なんでおどれが正しい…?いうてみい…!森田っ!おどれは正しいのか…!正しさとはなんや……!

森田は、虚をつかれた。言葉が、出ない。

ドアホがっ…!と吐き捨てるように言いながら唾を吐き、川田は続ける。

「教えたる、正しさとはつごうや……ある者たちの都合に過ぎへん…正しさを振りかざす奴は……それは、ただおどれの都合を声高に主張してるだけや!わいはケチな悪党やが、口が裂けても人が間違っとるだとか正しさだとか、そんな口だけはきかんつもりや…それくらいの羞恥心は持っとる…!」

森田は、ただ唖然として聞いていた。

そんな森田を見て、言いたいことをすべて言って力が抜けたように川田はソファに座り込む。

「ふん……半端者や………開き直れん悪党なんて見苦しいだけ……才能持っとるんやからええ加減悟れや……!迷えばいい人間か…?悩めば素晴らしいんかい…?……そんなもんクソやんか…!金しかないやろ………それが一番確実やろ、違うか森田……」

川田は泣いていた。

場面は飛んで森田は帰路につく。

金…金…金…河田の言葉を反芻しながら森田は思う。

「川田……お前はやっぱり……間違っている………」

 

以下略

 

Q:正しさとは何でしょう?

A:都合

 

悪人の理論ですが、結局は正しいことを言ってたんですね。

あれ?正しさってなんだ?

無限ループに入るところで、ばいなら!

 

追記

書いたあとで調べてみると、ほんまでっかtvで有名な武田教授が本を出してました。セルフ思考実験で大体満足したので自分は読まないと思いますが一応紹介しておきます。こんな落書き以下の記事よりもっともっと×100 論理的に書かれてることは間違いない上、読み応えもあると思うので。

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